福島第一原発メルトスルー事故の真因(ToT)/~~~ 冷却用海水ポンプ

公開日: 2012/09/04  アーニー・ガンダーセン


福島第一原発の真の事故原因はディーゼル発電機が津波で破壊されただけでなく、
沿岸部に設置された冷却用海水ポンプの壊滅でした。
原子炉の熱を最終放出先である海に逃がす事が出来ない事は最終的な冷却機能の喪失と言われ、ディーゼル発電機が動いたとしても、事故は防げなかったと言う事です。

下図をみれば、冷却用海水ポンプいかに大事か分かりますね。
しかし、この点については論じられる事はありませんでした。
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電源喪失などの非常時には原子炉の崩壊熱で作られた蒸気がタービンを回しタービンが冷却用海水ポンプを動かします。
そして冷却用海水ポンプが復水貯蔵タンクあるいは圧力抑制室から水を汲み上げ、原子炉に注入する仕組みです。
原発では広く採用されており、これ自体は交流電源無しで動作します。

福島第一原発事故の問題は、冷却用海水ポンプ喪失で、放熱機能を担保する冷却源である海水へ熱を移せませんでした。
その為、高レベル放射能を含む格納容器内の水が燃料棒の崩壊熱により高温になり、水素ガスを発生させました。
逃げ道の無い水素ガスは高圧になり格納容器上部の繋ぎ目より盛れ水素爆発を引き起こしました(ToT)/~~~

緊急炉心冷却が機能しなかったもう一つ理由は、バッテリー切れでバルブが制御不能となった事です。
バッテリーで高圧の蒸気をタービンに送り込むバルブの開閉する仕組みとなっています。
ディーセル発電機によって充電出来なければ、最大で八時間しか持たないのです。
冷却用海水ポンプが流されたり取水口が砂で埋まったりして海水冷却系の設備は壊滅しており、仮に電気が通じたとしても全く使えない状況でした。

福島第二が同じ津波を耐え抜いた一つの理由は、新しいポンプを使っており、福島第一より防水対策が厳重だったのです。
熱交換器建屋に設置されていた為、浸水したもののポンプ本体が津波に直接襲われず、損傷を免れました。モータの交換によって冷却機能を回復出来たのです。福島第二もバッテリー切れで停電寸前でしたが、海水取得設備の違いにより、冷却が出きる状態に回復したのです。
原子炉もMARKⅡ型で格納容器が頑丈だったので、水素ガス漏れは無く、格納容器の爆発事故にも至りませんでした。

福島第一を襲った津波で福島第二・女川・東海原発も同じような被害を受けました
この4つの発電所には全部でがあり、37機のディーセル発電機があります。
このうち、9機のディーセル発電機が津波により破壊されました。
しかし、実は他の15機のディーゼル発電機も機能していなかったのです。
沿岸部にある冷却用海水ポンプが破壊されたのです。
という事は37機中24機が最終的冷却機能として、使えなかったという事です。

4つ原発で最低1機のディーゼル発電機が冷却機能喪失により故障していたのです。
このような危機的状況にあった事を日本政府は公表しませんが、広く国民に知らしめ、沿岸に建てられている原子力発電所の脆さを共有し、正しい対策をとるように判断をする必要があります。

津波に襲われたのが夜だったら、広大な原子力発電所内に日中の人員の1/10の100人しか作業員がおらず、14基の原子炉でもっと悲惨な事故となり、日本と言う国が消滅した可能性も充分に有りうる話です。